当社の誇る技術
当社の誇る技術
当社グループは、多くの水処理や汚泥処理に関わる技術・製品を開発、提供していますが、製品の安全性、品質の確保はもちろんのこと、環境負荷低減にも貢献する技術開発を推進しています。業界のトップランナーとして、時代のニーズに合致した製品提供を通じて社会に貢献しています。
浄水処理技術 気候変動にも対応した安全な浄水システム
セラミック膜ろ過システム
当社の「セラミック膜ろ過システム」は、膜ろ過方式を採用している国内の浄水場においてシェアNo.1*を誇る浄水システムです。膜の破断リスクが極めて低いこと、原虫類を除去できるため、ろ過水の安全性が高いこと、省スペースで設置できること、長寿命であることが特長です。国内の浄水処理方式はこれまで、緩速ろ過法や急速ろ過法など砂ろ過法が主流でしたが、現在は新たな方式である膜ろ過法の導入が進んでいます。当社はセラミック膜の高性能化、低コスト化を進め、車載式などへの発展につなげています。
*当社調べ

セラミック膜
セラミック膜ろ過システムの特長
高強度・高信頼性
水道の安全性を確保するために、最も重要な要素の1つとなるのが膜の信頼性です。当社のセラミック膜は高強度を生かした「破損しない膜」として、水道水の安全性を高めています。
高い運転安定性
日々刻々と変化する原水の状況に対応し、当社のセラミック膜は常に安定した浄水処理を継続することができます。降雨などにより原水がとりわけ高濁度となった時にも、本システムはろ過性能を低下させずに運転することができます。
施設配置における省スペース化が可能
当社のセラミック膜を使用した膜ろ過法は、日本国内の浄水処理方式において主流である急速ろ過法に比べ、フロック形成池や沈殿池が不要であり、施設配置において省スペース化が可能です。更新工事のための用地確保に課題を抱えるお客さまのニーズに応えることができます。
維持管理(保管・管理)が容易
当社のセラミック膜は、乾燥状態で保管できるため他のろ過膜に比べて保管や管理が容易です。また、災害などが発生した緊急時にも、乾燥状態から速やかに運転を開始することができます。
長寿命で環境にやさしいセラミック膜
当社のセラミック膜は、15年以上の長寿命を誇ります。さらに本システムの膜は、寿命を迎えた後もセラミック原料として再利用できるため、廃棄物を出さず、環境にやさしい膜素材となっています。また本システムは、原水をろ過する際に必要な圧力が低く、ポンプなどの動力を極力使わずに水位差(高低差)を活用したろ過も可能なため、電力使用量を少なくすることができ、省エネルギー化にも貢献します。
〈納入実績〉処理量(累計)

セラミック膜ろ過システムの可能性
当社はセラミック膜ろ過システムの特長を生かし、
持続可能(サステナブル)な社会の実現に貢献します。
車載式セラミック膜ろ過システム
セラミック膜ろ過システムをトラックに搭載した「車載式セラミック膜ろ過システム」は自ら移動ができる"移動式浄水場"です。湖や川などの水源の近くに移動・設置して、安全な生活用水に処理することが可能です。発電機を搭載し、公共電力がない場所の浄水処理にも対応します。操作やメンテナンスも容易なため、必要な訓練を受けたスタッフで運転や管理ができます。現在は海外でのニーズが高く、国内をはじめ、ケニアやカンボジア、ミャンマーなどアフリカ、東南アジア諸国に30台以上の受注実績があります。
また、こうした特長を生かし、災害時における生活用水の確保にも貢献しています。2024年1月の能登半島地震で被災した石川県志賀町において、生活用水の応急支援に活用されました。また、2023年8月にラオスを襲った大規模洪水の被災地にて、同国保健省などによって実施された給水支援にも活用されています。

納入実績(数字は納入台数、2024年3月時点)

カーボンニュートラル技術 温室効果ガス排出削減や省エネルギー化に貢献
カーボンニュートラルへの取り組み
当社グループは、気候変動を含む環境・社会の課題の解決に向けて、持続可能な水・環境インフラの実現に貢献する最適な技術・サービスを提供しています。そのために、当社グループでは、温室効果ガス(Greenhouse Gas:GHG)の排出量に関する指標と目標を掲げて、その削減を推進しています。また、顧客(自治体)におけるGHG排出量についても同様に指標・目標を設定し、その削減に貢献できるよう取り組んでいます。
当社グループのGHG排出量に関する指標と目標
項目 | 対象範囲 | 基準年 | 目標年 | 目標内容 | 実績値 |
---|---|---|---|---|---|
GHG排出量 (Scope1,2) |
国内グループ (連結対象*1) |
2020年 (3,982t-CO2/年) |
2030年 | 70%削減 | 3,959-CO2/年 (2023年度) |
2050年 | 実質ゼロ | ||||
顧客(自治体)の GHG排出量削減への貢献 |
国内下水道施設における熱操作関連製品・システム | 2013年 (約32万t-CO2/年) |
2030年 | 製品・システムの導入により50%削減 | 302,575t-CO2/年 (2022年度) |
*1 2023年度の算出対象企業: メタウォーター(株)、メタウォーターサービス(株)
当社既設機場における熱操作関連製品・システムのGHG削減量および削減率

焼却炉内が負圧のため安全性を確保しつつ、電力使用量を約40%削減
流動タービンシステム[日本下水道事業団 新技術導入制度 I類選定技術]
流動タービンシステムは、流動ブロワに替わり、焼却廃熱によって過給機を回転させて焼却炉へ燃焼空気を供給するシステムです。下水汚泥を焼却する際、炉内に空気を送り込む流動ブロワは多くの電力を消費しますが、本システムを導入することにより流動ブロワを使用する必要がなくなり、焼却設備全体の消費電力を約40%削減します。
過給機

従来技術と比較してN2Oを約50%削減し、燃料消費量も約20%削減
多層燃焼流動炉[日本下水道事業団継続導入技術]
汚泥焼却に際して、N2O*2の発生を抑制しつつ、同時に燃料消費量も削減する、地球環境にやさしい汚泥焼却炉です。
*2 N2O(一酸化二窒素):CO2の約300倍の温室効果があるガス

カーボンニュートラルに貢献する主な技術・製品
技術・製品 | カーボンニュートラルへの主な貢献*3 |
---|---|
急速撹拌機(RB式フラッシュミキサー) | 消費電力約30%削減 |
酸CEB付帯水頭差ろ過セラミック膜 | 全GHG約7%削減、用地面積約40%削減 |
オゾン+過酸化水素AOPシステム | 活性炭約50%削減 |
初沈代替高速ろ過システム(超高効率固液分離) | 消費電力約25%削減 |
嫌気・同時硝化脱窒処理システム | 消費電力約20%削減 |
単槽型硝化脱窒システム | 消費電力約30%削減 |
無曝気循環式水処理システム | 消費電力約34%削減 |
アナモックスシステム | 消費電力約40%削減 |
消化ガス発電 | 約3,000MWh/年発電 |
サイフォン式ろ過濃縮装置 | 消費電力約30%削減 |
低温熱風乾燥機 | 燃料100%削減 |
多層燃焼流動炉 | 燃費約20%削減・N2O 約50%削減 |
ガス化炉 | 燃料100%削減・N2O 約90%削減 |
流動タービンシステム | 消費電力約40%削減 |
バイナリー発電 | 消費電力約30~100%削減 |
ORC発電 | 消費電力約30~100%削減 |
*3 当社調べ。主に従来技術・製品と一定条件下で比較。
技術・製品のパンフレットにおいても、効果が分かりやすいよう具体的な数値で訴求

オゾン技術 水道水のかび臭などの課題を解決
オゾナイザ
地上20~50kmにあるオゾン層は、地球環境を強烈な紫外線から守っています。水や空気の処理などの分野においては、自然界に存在するオゾンの酸化力を利用した環境にやさしい手法が、私たちの生活を広く支えています。
当社の「オゾナイザ」は高効率のオゾン発生を実現する先進技術です。上下水道施設などに数々の納入実績があります。

オゾン・促進酸化処理(AOP)システム
近年の気候変動の影響により、水道水源のかび臭に関して、高濃度化、
発生時期の長期化、そして低水温期での発生が報告されています。オゾン・促進酸化処理(AOP)システムは、オゾン処理に過酸化水素を組み合わせた処理技術で、かび臭に対する新たな解決手段として注目されています。
オゾンと過酸化水素の適切な注入制御により、高濃度のかび臭の分解、低水温期の処理効率維持、副生成物である臭素酸生成の抑制、後段の活性炭への負荷軽減を実現しました。


Topics
ユニ・チャーム株式会社と紙おむつのリサイクル事業で協働
~使用済み紙おむつの再資源化におけるオゾン処理の効率化~
高齢化の加速などにより、紙おむつの生産量は年々増加しています。
2020年3月には環境省により「使用済紙おむつの再生利用等に関するガイドライン」が策定され*2、ごみ焼却のコストとCO2排出量、資源の有効活用などの面で、使用済紙おむつの再生利用などに期待が寄せられています。
同社が開発してきたオゾン処理は、オゾンの強力な酸化力で殺菌・脱臭・脱色し、再資源化されるパルプの品質を向上させます。このたびの紙おむつのリサイクル事業における協働は、当社の強みであるオゾン技術や上下水道で培った知見を生かし、使用済み紙おむつからパルプへの再資源化におけるオゾン処理の効率化を図ります。
ICT技術 水環境に関わる危機の管理・点検・監視・レポートなどをクラウド環境で利用できるICTサービス
WBC(Water Buisiness Cloud)
WBCは、水・環境事業に携わる全ての人々をつなぐ「クラウド型プラットフォーム」であり、"いつでも・どこでも・誰でも"必要なデータや情報を効率的に共有・活用できます。上下水道施設の監視・管理からデータの収集・加工・分析まで幅広くサポートし、お客さまの業務の効率化や技術継承へ寄与し、デジタル・トランスフォーメーションの推進にも貢献します。多様なデータを連携させることで幅広いサービスを提供するとともに、最新技術を取り入れ、AIによるガイダンス表示や業務の自動化、市民へのデータ公開など、スマート社会を実現して持続可能な上下水道事業を目指しています。

ICT技術 熟練者の考え方や判断基準を形式化し、画面上で共有が可能
相関監視サービス
当社が2019年11月より提供を開始した「相関監視サービス」は、施設の運用に際して計測される、さまざまなデータの相関関係から、急激な推移変化や、流入量と流出量の不一致といった異変を早期に検知し、お客さまにメールや警報などで通知するサービスです。お客さまのニーズを受けて、継続的にリニューアル開発も進めています。
なお本サービスに関しては、日本水道協会関西地方支部 第66回研究発表会(2023年1月)にて、お客さまより発表されており、「サービスの活用により、熟練者の考え方や判断基準を形式化し、画面上で情報共有できるようになった」との評価を受けています。
機能
プラント運用における水位・流量・機器の運転状態などのさまざまな計測データを利用して、各計測データの相関関係から異変に検知し、メールや警報などで異常を通知します。
- 演算ロジックは、お客さまが容易に組み込むことができる
- 熟練者の考え方や判断基準を形式化し、画面上で共有できる(図1)
- 既存の監視設備メーカーに依存せず、必要な計測データだけを取り込み利用可能
活用例
- 急激な⽔位変化を早期に検知(活用シーン1)
- 配水池における流入量と流出量の不⼀致を検知(活用シーン2)
- 深夜の最低流量を監視することにより、漏水の可能性を検知

ICT技術 平成31年度採択 B-DASHプロジェクト「単槽型硝化脱窒プロセスのICT・AI制御による高度処理技術」の要素技術を活用
圧力可変制御による消費電力量削減
さらなる省エネが求められている下水処理場
下水道事業は、人口減少などに伴う下水道収入の減少や技術者不足、施設の老朽化などの課題に直面しています。持続可能な下水道事業を実現するため、より効率的な事業運営が求められており、特に消費電力量が大きい下水処理場においては、さらなる省エネが求められています。
送風機の圧力可変制御による消費電力量の削減
下水処理場の消費エネルギーの構成比率は、汚泥焼却設備の有無によって異なりますが、どちらの場合でも送風機の消費電力量が20%以上を占めています。送風機の消費電力量削減が下水処理場の総消費電力量削減に大いに貢献します。これまでも、送風機自体の効率化や、送風機の運転台数や送風量を制御することにより、消費電力の削減が進められてきました。
当社では送風機の吐出圧力に着目し、流入負荷に合わせてリアルタイムに送風機の吐出圧力を制御する圧力可変制御技術を開発。平成31年度採択B-DASHプロジェクトにおいて、成瀬クリーンセンター(東京都町田市)にて実証を行いました。
一定期間ごとに、圧力可変制御のON/OFFを切り替え、送風電力量を比較した結果、圧力可変制御により消費電力を16.2%削減することが確認されました。圧力可変制御による送風機の消費電力量の削減は処理方法にかかわらず適用が可能であり、幅広い施設への導入が期待されています。
当社技術の組み合わせにより、さらなる省エネを実現
インバーターを搭載した送風機や、低圧損型の高効率散気装置などへの機械設備更新と組み合わせて、本技術を導入することにより、水処理施設のさらなる省エネを実現します。こうした当社の機電融合の技術開発により、下水処理場の消費電力量削減に貢献します。
下水処理場 設備別消費エネルギー

出典: 国土交通省 水管理・国土保全局 下水道部「下水処理場のエネルギー最適化に向けた省エネ技術導入マニュアル(案)」(2019年6月)
従来制御方法との比較

実証実験結果
