WOODAP
「どうすれば全く壊れないか」から「どうすれば壊れたときでもすぐに復旧できるか」へ
上下水道インフラは、甚大災害・施設老朽化・人口減少による上下水道事業収入減少や技術者不足といった課題に直面する現在、「どうすれば全く壊れないか」から「どうすれば壊れたときでもすぐに復旧できるか」へと発想を転換し、平時から施設・設備の設計・建設、運転・維持管理、運営にその考え方を生かすことが求められています。そして、実際に災害や老朽化で施設・設備が壊れてしまった時には、あらかじめ定めた復旧までのタイムラインにしたがい、一定のサービスレベルまで迅速に復旧する仕組み「高速事後復旧オペレーション」を構築しておくことが重要です。
「WOODAP」とは
平時の問題解決プロセスであるPDCA(Plan・Do・Check・Action)と緊急時に現場が即座に判断・行動できるOODA(ウーダ/Observe・Orient・Decide・Action)とを連結させ、災害時の早期復旧を核とした設計・建設、運営・維持管理のメタウォーター独自の考え方が「WOODAP」です。
例えば、甚大災害で1mの浸水が起きたケースを想定します。過去の同規模の災害経験から復旧までのタイムラインを3日間と設定し訓練を何度も実践します。訓練における個々の課題に対して、Observe(観察)を中心にしたOODAループの訓練結果を都度成果として次に生かします。本部(本社)の大きくてゆっくりとしたPDCAサイクルと、現場が即座に行動できるOODAのループを連結させ災害時の行動基準を明確にすることが「WOODAP」です。
PDCAサイクルとOODAループを連結
「WOODAP」は、「W+OODA+P」で、「W」は知恵(Wisdom)や工夫を、「P」は準備(Preparation)を意味します。「知恵」と「準備」でOODAをサンドイッチしたOODAこそが目指すところです。
タイムラインコントロール
「WOODAP」では「明確な目標」を「タイムライン」と呼んでいます。明確な目標を設定してその目標を達成するためにはどうしたらいいのかみんなで知恵を出し合い、後はいざとなった時に現場が正確な判断を行えるよう準備することです。
「WOODAP」を支える仕組み
迅速な復旧のためには、運営現場をバックアップする仕組みやシステムも必要になります。運営現場をバックアップする仕組みの一つが2011年に誕生した「ウォータービジネスクラウド(WBC)」です。WBCでは、運営現場のセンサーなどから発信される「モノ情報」と運営現場での気づきや経験から得られる「コト情報」を自動的に収集し、自由に活用することが可能です。
もう一つが、①設備運転員訓練センター、②共通部品センター、③ナレッジセンターからなる「3センター」です。これらの3センターを活用することにより、上下水道の運営に不可欠な「ヒト、モノ、知恵」を〝公〞と〝民〞で広く共有することが期待できます。