2019年のニュース
「単槽型硝化脱窒プロセスのICT・AI 制御による高度処理技術実証事業」が 平成31年度B-DASHプロジェクトに採択
国土交通省が実施する「下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)」*1 において、町田市(市長:石阪 丈一)、日本下水道事業団(理事長:辻原 俊博、本社:東京都文京区、以下「JS」)、およびメタウォーター株式会社(社長:中村 靖、本社:東京都千代田区)の3者からなる共同研究体が提案した「単槽型硝化脱窒プロセスのICT・AI制御による高度処理技術実証事業」(以下、本提案)が、平成31年度実施事業として採択されました。
現在、日本の下水処理施設の多くは耐用年数を超過しており、老朽化が深刻な問題となっています。また、人口減少に伴う流入下水量の減少が見込まれるため、処理施設の統廃合ニーズが高まってきています。統廃合後は処理施設に流入する下水量が増加することとなるため、その全流入量を処理できるシステムへの転換が求められますが、将来の人口減少を見据えた場合、処理系列の増設は最小限に留めておく必要があります。また、「新下水道ビジョン」*2では、水質保全を目的に高度処理の導入が掲げられているものの、既存施設の高度処理化には施設建設費や維持管理費の大幅な増加を伴うことや標準活性汚泥法*3に比べて処理能力が小さくなるという課題も抱えています。
こうした状況を踏まえ、本提案は、既設躯体をそのまま活用しつつ、動力設備の増設もせずに高度処理並みの水質を確保するとともに、従来の高度処理であるA2O法*4と比べて槽内流入下水の滞留時間を短くすることで処理能力の向上を可能とします。さらに、従来は個別に最適化されていた設備群を、ICTとAIを活用して統合的に管理することで、高度な運転管理技術を要することなく、処理水質の安定化とシステム全体での使用エネルギーの最小化を実現します。
1.本提案の概要
ICT・AIを活用した単槽型硝化脱窒プロセスの実証
①反応タンク流入負荷変動に対応する空気量制御により、短HRTでA2O法同等処理水質の達成
②空気量制御と連動した送風機吐出圧力の自動演算・制御による消費電力の削減
2.特長
①ICT活用の空気量制御による短滞留時間の実現
・NOx計*とNH4計により負荷変動に応じた空気量演算を行い、単一槽内において最適な好気
・無酸素ゾーンをフレキシブルに形成 *NO2-NとNO3-Nの合計濃度を測定するセンサー
・循環ポンプと撹拌機が不要で動力費を縮減
②ICT活用による設備連携、圧力低減による送風電力削減の実現
・反応槽設備と送風機設備を統合制御
・必要空気量から送風機の最適吐出圧力をリアルタイムに自動演算し、送風電力を削減
③AIによる季節変動等への対応、運転調整負担軽減の実現
・必要空気量演算の制御パラメータをAI(機械学習機能)により自動チューニング
・チューニングに掛かる負担を軽減しつつ処理水質の安定化を実現
3.技術効果
高度処理化の推進に寄与
① 建設費を抑制(最適な好気・無酸素ゾーン形成による槽容量縮小)
② 省エネの実現(撹拌機不要、循環ポンプ不要、送風電力減)
③ 維持管理者の負担軽減(季節変動等に対応する自動運転)
4.事業概要
町田市は実証フィールドの提供、運転管理、実証技術の有効活用方策に関する調整を行い、JSは実証施設の設計施工監理、調査研究管理、研究計画立案、データ解析・評価、国内外への普及展開を行います。当社は、水環境のトータルソリューション企業として、設計、建設、運転総括、調査取り纏めを行います。今後は、町田市とJS、および当社の3者による相互協力の下、下水道事業の発展と持続性確保に寄与する革新的技術の確立を目指していきます。
・実施者:メタウォーター・日本下水道事業団・町田市共同研究体
・実証フィールド:東京都町田市成瀬クリーンセンター(東京都町田市南成瀬八丁目1番地1)
*1 下水道革新的技術実証事業(通称:B-DASHプロジェクト)とは...
新技術の研究開発および実用化を加速することにより、下水道事業におけるコスト縮減や再生可能エネルギー創出等を実現し、併せて、本邦企業による水ビジネスの海外展開を支援するために国土交通省が実施している実証事業
Breakthrough by Dynamic Approach in Sewage High Technology Projectの略
*2 国土交通省と公益社団法人日本下水道協会が共同策定(2014年7月15日 公表)
*3 流入下水を活性汚泥と混合し、曝気することにより有機物などの下水中の汚れを処理する方式
*4 窒素、りんを除去するため、生物反応槽を嫌気槽、無酸素槽、好気槽の順に配置し、好気槽の硝化混合液の一部を無酸素槽へ循環する処理方式
本件の問い合わせ
メタウォーター株式会社 | コーポレートコミュニケーション部 | TEL: 03-6853-7317 FAX: 03-6853-8709 e-mail: pr@metawater.co.jp |
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