メタウォーターの経営戦略

新たに策定した「中期経営計画」において財務戦略のKPIを設定

「中期経営計画2023」(2022年3月期~2024年3月期)では最終年度において、受注高、受注残高はともに過去最高値を更新することができました。

また損益面においても、営業利益が公表値をわずかに下回ったものの、売上高、各利益はともに過去最高値を更新しました。この成果は、設立20周年の節目の年であり、新たに策定した「中期経営計画2027」の最終年度でもある2028年3月期に向けた布石になると考えています。

これを踏まえて、当社では「収益性」、「効率性」、「健全性」および「株主還元」の観点から「7つのKPI」を設定しました。このKPIを通じ、社会インフラを担う企業としての「安全性」とともに、ROEやROICなど「資本効率」を追求し、「資本コスト」を意識した経営指標をモニタリングしていくことで、全社の稼ぐ力の向上と効率的な経営を目指していきます。

7つのKPI

収益性およびキャッシュフローの改善

①収益の改善について

「中期経営計画2027」の初年度となる2025年3月期の営業利益は、将来の人員確保やベースアップを主とした人的投資、基幹システム更新投資、DX投資に伴う減価償却負担などを織り込み、前期比9億円減の90億円の予想値を公表しました。最終年度の2028年3月期目標130億円には、さらに40億円の増益が必要となり、達成に向けて全社を挙げた収益向上とコストマネジメントが不可欠です。

同計画には組織体制と報告セグメントの変更を織り込みましたが、その狙いの1つには、社内におけるマネジメントアプローチと対外公表である報告セグメントを合致させることにより事業・収益責任の明確化を図ることがあります。

経理財務企画室では、社内的には事業ごとの業績や予算、経費の執行状況など月次の事業損益の見える化と事業部門が適切な業績管理を推進できる仕組みの構築に、また対外的には開示資料の充実化に取り組んでいきます。

新セグメントによる組み換えイメージ

②営業キャッシュフローの改善について

案件の大型化(工期の長納期化)や一部工事の工期延長により、資金の回収時期が従来よりも後ろ倒しになる傾向が続く一方で、建設業法の改正の影響などにより協力会社への支払時期は早期化している状況にあります。これが売掛債権の大幅増加と買入債務の減少につながり、当社のキャッシュフローを従前よりも悪化させる事象が起こっています。

また当社は自治体向けの売上が9割近くを占めるため、年間売上高の約6割は自治体の工事やサービスの検収処理が行われる1~3月に集中します。この売掛債権の回収は3月から5月にかけて順次進むため、期末(3月末)時点の営業キャッシュフローは安定しない特徴がありますが、翌年度の第1四半期(4~6月)には回復するサイクルとなっています。

2024年3月期は、前期に続き営業キャッシュフローがマイナスとなりました。大型案件の回収が4月にずれ込んだことによる一過性の現象と捉えていますが、今後もこのような事象が起きることを想定し、資金調達の多様化や売上債権回転率の改善など、キャッシュフローを安定させる施策にも取り組んでいきます。

四半期末現預金、営業キャッシュフロー推移

資金調達の多様化とキャッシュ・アロケーション

①ブルーボンドの発行について

資金回収の長期化に対応してベース資金を確保することと、資金調達の多様化の実現を図るため、2023年12月に社債(ブルーボンド)により100億円の調達を実施 しました。「ブルーボンド」は、持続可能な水処理事業などに資金使途を限定したSDGs債(ESG債)であり、昨今のインパクト投資やESG投資の時流に沿うものだと考えています。

当社としては、初めての社債市場からの調達となりましたが、100億円の募集額を大幅に上回る応募を得られたことは、当社事業への期待の表れだと感じています。

また金利上昇の懸念がある中、格付を活用して低利で調達ができたこと、資金調達の多様化を図ることができたことは、大きな成果になりました。

この経験をステップに中・長期の成長戦略の実現をバックアップする資金政策につなげていきたいと考えています。

ブルーボンドの概要

②キャッシュ・アロケーションについて

「中期経営計画2027」では、デットを活用して財務レバレッジを高めることで資本効率を向上させるとともに、その実行にあたってはD/Eレシオを意識することで安全性を確保し、効率的な資金活用に努めます。

キャッシュインとしては、営業キャッシュフローの改善や資金調達の多様化により650億円を見込んでいます。また使途としては、研究開発、M&A投資、「ウォーターPPP」などの成長投資に400億円、人的投資やDX投資などの基礎投資に50億円、安定配当や機動的な自己株式の取得などの株主還元に200億円をそれぞれ割り当てる考えです。

キャッシュ・アロケーション

株主還元と資本政策

2023年度(2024年3月期)は前期に引き続き、通期で1株当たり4円の増配を実施し、1株当たり46円の配当としました。また2024年度(2025年3月期)も、2円の増配となる1株当たり48円を予想しています。

「中期経営計画2027」では、従来の安定配当方針に加えて、減配せずに配当水準を維持する、または利益成長に合わせて増配し続ける「累進配当」の考え方と、配当性向の引き上げ「配当性向30%~40%」を明言しました。

今後もコーポレートガバナンスの観点から、株主構成の在り方や資本政策を常に意識しながら、議論を進めていきます。

1株当たりの配当額(年間)の推移
株主構成の推移

2027年度に目指すべき姿「2,000億円のトライアングル」

「中期経営計画2027」とともに公表した設立30周年を見据える長期ビジョン「(仮称)Next2037」(「トップメッセージ」内のイメージグラフ(P16)を参照)では、①有利子負債の活用と事業基盤の強化として「総資産」、②成長性と事業規模拡大を目指す指標として「売上高」、③事業+収益性のアップ、および株主還元などによる投資家の期待値を示す「時価総額」の3項目を選定し、「3,000億円のトライアングル(正三角形)」を2037年度(2038年3月期)の目指すべき姿として最終ゴールに設定しています。

その前段階として「中期経営計画2027」の最終年度となる2028年3月期においても、「総資産」、「売上高」、「時価総額」による「2,000億円のトライアングル」を目指し、財務戦略を実行に移すことにより、安定的かつ持続的な成長と企業価値の向上に貢献していきたいと考えています。

2024年度は、そのスタートの年度となります。積極的に同計画に基づく財務戦略を推進し、「7つのKPI」の達成に向けて取り組んでいきます。

2,000億円のトライアングル