DXの取り組み

当社グループは水・環境インフラ業界を取り巻く社会課題を解決するためにDXを推進し、持続可能なインフラの未来を創出します。

当社が培ってきた機械・電気プラント建設・運転・保守・修繕の技術とDXを掛け合わせて、設計の効率化や、運転管理の省力化、設備の予知保全などによりライフサイクルコストを削減し、財政難と技術者不足、資源の有効活用と循環、環境負荷の低減といった社会課題の解決に貢献します。
またデータを活用して、新たな顧客価値の創造、水質管理の高精度化による安全性の向上、情報セキュリティ対策の強化に取り組み、持続可能かつ安全で効率的な水・環境インフラ業界の未来を築きます。

DXの取り組みは、当社がパーパスとして掲げる「地域と共生し、水と環境の循環を守り、人々の暮らしを支える」の実現のためにも重要な取り組みのひとつであり、上下水道・資源環境業界にとって共通の課題でもあります。当社は水・環境インフラ業界のフロントランナーとして、自治体や業界内外のパートナーとのオープンイノベーションや、独自のエンジニアリングプラットフォームの活用により新たなイノベーションと価値を創出し、インフラの老朽化や甚大災害といった社会課題の解決にも挑戦していきます。
また、当社グループの全社員が働き甲斐と誇りを持って仕事ができる環境を実現するため、DX化を通じて業務効率化や働き方改革の推進、新規事業への挑戦機会の拡大などを実現します。

代表取締役社長 山口 賢二

「DX推進室」の設置

2024年4月、全社のDX関連部門を集約し、取締役を責任者としてDX戦略の企画立案と推進を担う専門組織とする「DX推進室」を設置しました。DX推進室と各部門の担当者が全社横断型のプロジェクトチームを随時に組成し、部門間の連携を強化することで、エンジニアリング、マーケティングなどの業務において社内のデジタル化を積極的に推進しています。今後は市場や業界・顧客・自社のビッグデータを関連付けリアルタイムで分析し、インサイト情報を得ることで、新事業の創出、実現を目指します。

略称の説明:

  1. PPP(Public Private Partnership)とは、公共施設等の建設、維持管理、運営等を行政と民間が連携して行うことにより、民間の創意工夫等を活用し、財政資金の効率的使用や行政の効率化等を図ることです。
  2. WBC(Water Business Cloud) とは、水・環境事業に関わる必要なデータや情報を共有・活用できる、当社独自の「クラウド型プラットフォーム」サービスです。

エンジニアリングDXビジョン=プラントLCCの最小化と運営の最適化

エンジニアリングデータと維持管理データの連携

エンジニアリングデータと維持管理データを連携し、出荷品質の向上および現場における日々の点検や故障発生時に源流の設計データを活用できるようにします。
また、設計データと監視制御や点検記録のデータを連携することで、運転状態の分析と改善を容易にするとともに、デジタルツインによるシミュレーションによりオペレーション支援を行い、ヒューマンエラーを削減して運転管理業務の安定化と安全性を向上します。

エンジニアリング・現場DX実現のための環境整備

商談から設計、製造、試験、建設、納入までデータ連携を実現するプラント情報マネジメントシステムの導入

プラント情報マネジメントシステムを導入して商談から納入までの全工程における情報を一元管理し、設計・製造・施工といった各段階でのデータ連携を強化しました。
また、現場においてはIoTセンサーで収集したデータから機器の異常を早期に検知して故障を未然に防ぐことで、施設の稼働率向上とメンテナンスコストの削減を実現する実証を継続しています。
今後は、プラント情報マネジメントシステムを介して設計データと実際の運転データを紐付け、さらなる設備の最適化や更新計画の策定を効率的に行うシステムに拡張していきます。

シミュレーションとオペレーションサポートセンター(OSC)によるオペレーション支援

当社ではIoTとAIを活用した運転支援システムの実証を浄水場や下水処理場で行っています。これは水量や水質情報や異常時の対応など、過去データをAI等により解析してシミュレーションを行い、オペレーターに運転ガイダンスを行うことで人為的なミスを削減し、安全な運転を支援するものです。
また、当社グループが運転・管理を受託している浄水場や下水処理場などの運転状況を随時監視、サポートする「オペレーションサポートセンター(OSC)」の設置により、遠隔地から緊急事態発生時の迅速な対応を行っています。
今後は、デジタルツインによるシミュレーション検証などにより、災害時のリスクを低減し、事業の継続性を高めていきます。

エンジニアリング業務の効率化の指標

プラント情報マネジメントシステムを導入し、システムの適用率とその教育研修の受講率をエンジニアリング業務プロセスの効率化の指標としています。

営業情報一元管理と分析による顧客インサイトの発見

営業活動と納入情報などの顧客情報を一元管理し、分析を行い、カスタマーサクセスが実現できる顧客インサイトを発見します。

営業・マーケティングDXの環境整備

営業活動内容、受注、納品、導入後のサポートに関する顧客情報を集約するデータウェアハウスとして集約するシステムを整備しており、 営業支援と顧客管理の連携を強化します。
それにより、製品納入情報の一元管理による顧客からの問い合わせ対応の迅速化、設備の最適な更新周期の提案、問い合わせ情報の一元管理と分析による営業活動の効率化を達成します。
さらに、今後は収集した情報を分析して顧客の潜在的なニーズを発見し、新事業の創出に繋げます。

営業業務の効率化の指標

顧客情報のリアルタイム管理システムと業務効率化ツールを導入し、それらの利用率を営業業務の効率化の指標とします。

DX人材の育成に向けた教育プログラムの実施

デジタル技術を活用した新しい働き方や組織文化を構築するため、デジタル人材教育プログラムを実施しています。各部門でDXに精通し自走できる人材を育成するために、教育プログラムを「全社員ステップ」、「サポーターステップ」、「リーダーステップ」の3段階に分けて実施し、全社員がDXを学べる機会を設けつつ、素養に応じてステップアップする段階的な教育プログラムを実施することにより、各部門で主体的にDX推進を行えるリーダー人材を育成していきます。

DX人材の育成の指標

DX教育プログラムの実施に合わせ社内のDX教育実行レベル(5段階)を設定して把握します。実行レベルは、「全社員ステップ」によるDXに対する全社員の基礎的リテラシーの向上(レベル1・2)、「サポーターステップ」によるDXを推進・支援する素養を備えた人材の育成(レベル3)、および「リーダーステップ」によるDXを推進できる人材の育成(レベル4・5)と設定します。各教育プログラムの受講比率をDX人材育成の指標としています。