Project3 水道事業の新たなるディファクトスタンダードへ クラウド技術の活用で、インフラの難題に立ち向かう Name:WBC広域監視システム Place:笛吹市(山梨県) Date:2011年導入・稼動開始 Keywords:広域監視・クラウド技術・Sass

chapter1『背景~公示』50を超える機場をつなげ。 → chapter2『提案~受注』嬉し涙と武者震い。 → chapter3『調査』まさに、1からの挑戦が始まった。 → chapter4『導入~発展』WBCは、これからさらに加速する。

いま、日本の水道事業は大きな転換期を迎えている。
高度経済成長期に作られた既存の水道管等のインフラ設備の老朽化、管理・運営にあたる人員の不足、上下水道事業に掛ける予算の削減等、日本中の多くの自治体が共通の問題を抱えており、「広域化と包括化」は国全体の水道事業における課題となっている。

その難しいテーマに対するメタウォーターの答えの一つに、クラウドを活用したWBC(ウォータービジネスクラウド)がある。
この新サービスは、メタウォーター1社だけではなく、自治体はもちろん異業種他社との連携も図る複合的なサービスプラットフォームとして、これからのインフラ事業におけるサービスの在り方を大きく変えていく、次世代のディファクトスタンダードを目指している。
すでにいくつかの自治体に導入され、その存在は注目されつつあった。

そんな中、2010年、山梨県笛吹市で大型の広域監視システムプロジェクトが動き始めていた。

50を超える機場をつなげ。背景~公示

2004年に6町村が合併して誕生した山梨県笛吹市。
桃やぶどうの名産地として知られる自然の恵み豊かなこの地も、深井戸を主水源とした生活用水の水質悪化や取水量の低下が進んでおり、また水道管の老朽化や耐震性問題を解決することは待ったなしの状況だった。

笛吹市は、町村合併以来、それぞれの自治体が別個に運営していた51の機場を一元管理するため、広域監視システムの導入を検討していた。
その有力候補として笛吹市が注目したのが、クラウドを使ったSaaS型サービスだった。

しかし、多くの市民の生活を守る責任ある市の立場からすれば、
これまでに導入・運営したことのない未知のシステムで、全国的にも実績の少ない新型のサービスを採用するにはリスクと不安があった。

そこでシステムの良し悪しだけでなく、ともに事業運営までも行えるパートナー探しも含んだ形での公募型プロポーザル方式の導入を決断。2011年の夏、入札の公示が行われた。

「絶好のチャンスが来た」

一方、メタウォーターにとっても水道事業が抱えるさまざまな問題点への最適解となる新しいサービス事業WBCをスタートさせたところで、大型案件の受注を目指していた。

この新事業WBCの開発を任されていた知識は、笛吹市の公示を知り即座に思った。
「これは最大で最高のチャンス!50を超える機場をクラウドで繋ぐという難題をWBCならクリアできるし、いま日本全体が抱えている施設の老朽化、マンパワー&スキル等の課題を、WBCが一気に解決できることを大型プロジェクトで証明する最大で最高のアピールになると思いました」

嬉し涙と武者震い。提案~受注

公示を受け、メタウォーターは即座に動き出す。まずは営業情報にもとづきプロジェクト推進に必要なスキルをリストアップし、社内の幅広い部門(10部門)から最適なメンバーを選びプロジェクトチームを結成。プロジェクト専用室を日野事業所内に設置、そこにメンバーが集結し、共同作業によるプロジェクトがスタートした。

サービス担当でプロジェクト全体をサポートした渡部は当時を振り返る。「チームは各部門のエースが集まったプロ集団だけに、当初は意見もぶつかり合いました。
しかしお客様にとって何が一番大切なのかをとことん話し合うことで、妥協すること無くまさに最適解を全員で練り上げて行きました」

プロポーサル公募は3段階にわたって審査された。
初めは、参加資格審査。会社としてこの事業をきちんとやりきれる経験、ノウハウ、体力があるか審査される。
次に、技術提案書等の審査。事業の企画をまとめた提案書が審査される。3段階目は、プレゼンテーションおよびヒヤリング。提案書のプレゼンテーションを行い、その内容について審査員ヒヤリングを受ける。
参加企業5社との競合だったが、審査の結果、メタウォーターは最高得点を獲得し、優先交渉者として受注が決まった。
その決め手となったのは、地域ごとに最も通信が安定した携帯電話会社の利用等の柔軟な対応力と、機場内に設置する通信装置が回線異常時でもデータ蓄積可能等データセンターの充実が高い評価を受けたのだった。

「ここからが本当の勝負だ」

受注の一報がメタウォーターに入ったのは、プロジェクト室にメンバーが集まり、受注を見据えて提案の中身を詰める会議の最中だった。一同はその知らせに沸き立った。メンバーの中には思わず嬉し涙を流すものもいた。
「よっしゃ!だが、これからが大変だな」
その時、サービス担当の渡部は、正直、嬉しさよりもこれからの厳しさに気が引き締まる思いだった。

というのも、メタウォーターには大きなハンディがあったからだった。

まさに、1からの挑戦が始まった。調査

51ヶ所あるすべての機場をコントロールするという大命題が与えられていたが、笛吹市の上水道の施設は6地区に分かれており、管理の仕方も違えば体制の作りも経営の方針も機械もそれぞれ別のものだった。
そのほとんどの機場の監視制御設備は他社が納めたもので、メタウォーターが納めた機場は境川にある浄水場1ヶ所のみだった。
それは、すべての機場を束ねる広域監視システムの設計に必要な資料が自分達の手元にほとんどないということを意味していた。
そこで技術の村松は、まず施設運用の安全・安定稼動を確保するための対策検討および設計作業を進めていく上で不可欠な各51施設の関連図面を探し出し、どんな配線がされているか、どんな制御をしているのかを確認するための、現場の徹底的な調査から始めた。

「待っていた段ボールの山」

調査を行った村松と渡部は、町村合併された各役場から関係書類が集められ保管していた書庫に入って驚いた。そこには、200個以上の段ボールが山積みになっていた。資料が詰まった段ボールを一つひとつ開けて探していくという地道な作業が始まった。
しかし欲しい図面はすぐには見つからない。夏場の書庫で汗だくになりながら、ひとつふたつと徐々に探し出して行った。
書庫に無いものは、市内に点在する施設の配電盤の裏等から見つけ出した。それでも無い場合は、実際の配線をたどりながら図面を書き起こした。

「チームワークで一気に51ヶ所をつなぐ」

調査は、設計やサービス等複数の部が共同で行い、その場で意見交換をしながら調査の精度をあげていった。そして、技術・設計・試験・工事の各部門が参加したDR(デザインレビュー)で既設信号の取出し、設計の統一化による工期短縮と改造パターンの統一化で設備停止時間を大幅に短縮。これにより現地調査ポイントの明確化と設計作業の効率化を図り、作図の短期化を実現した。
また、切替時のプラント状態の監視にWebカメラシステムを活用し、3ヶ所同時施工時において現場代理人による効率的な安全施工管理を可能とした。

そして全51ヶ所のシステム切替が、4.5ヶ月という短期間で完成した。

WBCは、これからさらに加速する。導入~発展

2011.10.20 日本水道新聞

2012年4月から、サービスは運用を開始した。
システムは順調に稼動しており、これまではできなかった広域管理が可能になったことでお客様の運用管理体制の再構築も進んでいる。
また、元々、遠方監視機能の無い施設や、現場に行かないとできなかった確認も、遠方で監視・管理できるようになったことで、トラブルを未然に防げるようになったこと等、お客様からの評価も高い。

「水道事業運営のパートナーとして期待している」

受注後に市のご担当から掛けられたこの言葉こそがWBCの新しい価値を表している、と知識はこのプロジェクトを振り返る。
「非常に嬉しい言葉でした。わたしたちへの信頼と期待をひしひしと感じましたし、プラントやサービスを納めるという従来の事業スタイルから、納入し運営し継続的にお客様すべての業務を支援する事業パートナーへと、お客様との関係が変わっていくこともWBCの価値だと思います」

笛吹市のプロジェクトは新聞で紹介される等マスコミにも数多く取り上げられ、WBCは内外に注目される存在となった。
数多くのお客様からWBCについて問い合わせがあり、その後受注に成功した案件もある。また、水事業分野以外の企業とWBCの共同事業についての検討も進んでいる。
今後ともメタウォーターは、お客様の水道事業運営に寄与する新しいサービス、次のディファクトスタンダードを次々に開発・提供していく。次代のサービスに、次代の才能を生かす。メタウォーターには、そんなチャンスが待っている。

Member's voice

開発

WBC初の大型案件受注および工事完納という、誰も経験したことのない新規プロジェクトでしたが、全社をあげた活動により、成功に導くことができたとき、率直に「やればできる、皆が持つ力を合わせれば実現できる、メタウォーターの総合力はすごい」と実感しました。この経験で得た一番のものは「人(人脈)」でした。皆の思い、スキル、ノウハウ、人脈がさまざまな場面で活かされたことにより、プロジェクト完結に至ったと思います。

サービス

今回のプロジェクトで培った人脈は仕事上の大きな財産ですね。この貴重な人の繋がりから更なる人脈を作って、新サービスのコンテンツ開発の視野を拡げていきたいですし、また他の業務を遂行する時のバックボーンにしたいと思います。

技術

今回のプロジェクトを通して感じたことは、基本的なことですがチームワークの大切さでした。メンバー全員がこのプロジェクトへの情熱を持って、一致団結して取り組むことが出来たと思います。それは、当社にとってWBC事業を発展させていく上での重要度と、受注するまでのプロセスの大変さを肌で感じられたからです。
さまざまな課題はありましたが、結果としてチームワークで乗り切ることが出来ました。この経験をこれからの業務に生かしていきたいと思います。

※記事内容は、取材当時のものです。

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